隣のテーブルに座ってる女性は普通のベンガル人に見えず、「あの人ベンガル人じゃないよね?」とグルジの奥さんに聞いたら、笑いをこらえた顔で「後で車の中で話すわよ」と言われたのでした。
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ダッカから1時間ほど、Parween Sultanaのtumuriにのって車はナラヤンガンジに到着。会場に着くと、パーティーの特別ゲストであるグルジは生徒たちから(生徒の1人の結婚式だったから、生徒がたくさん集まってたの)フラワーシャワーを受けたり、プロナム(足に触って敬意を表す行為)されたり、すごい歓迎の嵐。
席に案内されてからは、バンドが生演奏を始めたんだけど、花嫁の入場で場は一気に華やかな気分に。もう、美しいのなんの。きらびやかなサリーにたくさんのアクセサリー、手はメヘンディーがぎっしり。でも、ちょっと緊張してて顔がこわばってるところがまた可愛い。そして、次は花婿の入場。そしたら、太鼓がドカドカ鳴りだして、周りのみんなが踊りだした!私もグルバイに誘われて無理やりみんなの輪に入れられて踊らされちゃった。いや、正直に言うと、嫌がってみせてたけど、実はノリノリでした。まー、それはいいとして。
その後、ダッカへ戻らなくちゃいけない私達だけ別室でご飯を頂くことに。その時、ふと気づくと、隣のテーブルに例の女性がいたのです。あきらかに他のバングラデシュの女性達とは顔もお化粧も着ている服も違う。顔が白いから欧米人?と思ったけど、周りの人と普通にベンガル語で話してるみたいだから、それも違うのかな?とか考えていたら、また元の席に戻るように言われて、みんなで移動。
すると、ステージに例の女性が現れた。そして、踊りだした!
「あの女性は女じゃないよ。でも、男でもない。どっちでもないんだよ。」と隣のJが説明してくれたんだけど、そう、例の女性はヒジュラだったのです。ヒジュラって、日本語だと「オカマ」って訳すのかもしれないけど、ヒンドゥー教の文化と照らし合わせると、単純に「オカマ」とは呼べない。性別のない特別な存在として見られてて、まあ要は「縁起物」みたいなもんだから、結婚式で踊ったりするわけです。
ヒジュラの踊りはあんまし上手じゃなかったけど、周りはすごく盛り上がってた。動きは映画のダンスのようにセクシーなんだけど、彼女は女じゃないから老若男女、なんの後ろめたさも感じずに手を叩いて楽しめるのね。そういう意味でも、ヒジュラが結婚式で踊るってのは理屈にかなってるんだなー、なんて思いました。
そして、帰りの車の中、「Sはヒジュラをバングラデシュ人じゃない、なんて言ったのよ!」とみんなにさんざん笑われて、気づいた頃にはダッカに到着。バングラデシュで初めての結婚式は、ゴスロリメイク体験とバングラ人ヒジュラとの遭遇でした。ちなみに、今回はヒンドゥー教徒の結婚式だったんだけど、イスラム教徒の結婚式にはヒジュラは来ないんだってさ。次はムスリム結婚式に行きたいです。