「・・・彼の指は、音をたてず、ゆっくりと、彼女の肩から腕、そして指へと滑っていった。・・・」
「・・・彼の温かい吐息を首のあたりに感じ、彼女はなんとも形容のできない感情に浸りつつ、体を震わせるのだった。・・・」
・・・
おいおい、何のエロ本だよ!とお思いでしょうが、これ、またまたWhat the Raags Told Meより、Raga Bageshreeの詩的説明です。
(ただ、そんな箇所を私が抜粋しただけで、本当は、komal Gがどうだの、shuddha Mがどうだの、とちゃんとラーガ理論的なことを混ぜつつ、美しい表現がしてあります。)
このラーガ・バゲシュリ、私本当に大好きなのですが、本ではどんな説明なのかしら?と思って読んでみたら、これ、クリシュナとラーダのロマンティックな愛の話のようです。月明かりの中、2人が愛を語ってる、という。
そう、上記の彼と彼女はクリシュナとラーダ。
クリシュナはヒンドゥー教の神様でもあるんだけど、美男子でプレイボーイ、そして笛の名手、っていうんで有名です。
ラーダは「クリシュナの愛人」と日本語では書かれることが多いのだけど、なぜ「恋人」でなく「愛人」なのか、そもそも原語は何だったのか、全く知りませんが、クリシュナの数多くの彼女の中の1人、ってことでしょうか。
クリシュナとラーダの話も、私どえらい好きです。
地球上にいる、ほとんどの女子は好きに違いない!と思うぐらい、ロマンチックなエピソードばっかしです。
でもね、クリシュナとラーダって、単に恋人ってだけじゃないの。それがヒンドゥー教の深さの面白いところなんだけど、クリシュナ=神、ラーダ=信奉者、でもあります。この本の説明だと、クリシュナ=宇宙。
私は個人的に何かの宗教にどっぷり浸かってるわけではないのだけど、好きな宗教者にラーマクリシュナ(wiki日本語→ラーマクリシュナ)がいます。
ラーマクリシュナは、「神様に助けてもらいたい、神様を見たい、と思うなら、ラーダがクリシュナを恋焦がれるようにひたすら想うべき」と言っているの。
まーね、恋心ほど、甘くって、突然沸き起こって、しかも強烈なものってないわけで、それを神様に向けなさい、ってことだね。
そして、自分の存在と宇宙の原理をつなぐものが「恋心」って考えたら、なんかそれって素敵じゃーん、特定の個人ってわけでなく、もっと大きなものに胸キュンでいる、って幸せな生活じゃーん、と思います。
(某有名な日本のアニメで、某ハンサムな少年が、実は人間じゃなくて自然の一部だった、っておちがあって、それを観たときは「えー、がっかり」となりましたが、結構素敵かも、と思えてきました。)
いやあ、いいね、恋心があふれる世の中!
そして、恋心でいっぱいのRaga Bageshree!
ちょっと甘くてちょっと塩味「50-50」