What the Raags told me
by Vasudev Murthy
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コルカタの本屋街カレッジストリートで、「インド古典音楽の本が欲しい!」と人に聞きまくって、やっとのことで辿り着いた出版社Rupa&Co.で買った本です。
本当は、それぞれのラーガ(インド音階)の絵が集められている画集が欲しかったのだけど、見つからなかったの。
これは、ラーガ毎のイメージを文章にした、いわゆる「ラーガ詩集」のようなものです。
インドのラーガってのは、西洋音楽でいうところのスケール、ってやつでしょうか。私、恥ずかしながら音楽全般の知識は義務教育程度なので、ちゃんと説明できないのだけど、日本音階だと、イ短調、ハ長調、みたいなやつです。
でも、インド古典音楽のラーガが際立って独特なのは、それぞれのラーガに個性があるところ。
たとえば、ラーガによって、使う音、特徴的なフレーズ、そして強調する音はそれぞれ違っているし、演奏されるべき時間も決まっているし、ラーガの気分、さらには、ラーガ毎に人物像なんてものまであるんだよ。
とあるラーガの人物像は、女性でシルクのサリーを着ていて、パールのネックレスをつけている、だとか!
で、その人物像の画集が欲しかったのだけど、見つけられなかったのです。
そして、このラーガ詩集。
少し読んだだけですが、めちゃめちゃ面白い。
作者のVasudev Murthy氏は、ヴァイオリン奏者V.G.Jog氏のお弟子さんです。
内容は、たとえば、Raag Megh(Megh=雨)は、
「暑くて暑くて、みんな耐えている。私は、ふと雨の匂いを感じる。でも、まだ雨は降っていない。あいかわらずの青空だ。ああ、雨が降って欲しい。もうこの暑さに耐え切れない。すると、誰かの声がする。私を歌ってくれれば、助けてあげよう。nの音は私を呼ぶ。Pは我慢の音だ。・・・雲が集まってきた。雨だ!子ども達が池ではしゃぎはじめた。全ての生き物が再び生き返る!」
というような内容が、とっても詩的に書いてあります。
バングラデシュの雨季直前を思い出すと、ほんと、この通りだなあ。
そして、ちょっと良いなあ、と思ったのが、一番初めの項目は、ラーガじゃなくて、In Tune、タンプーラの音についてなの。
音の世界に入っていく様子が美しく書かれていて、うっとり。
インド古典音楽、面白い!
願わくば、もっと音の中に入って快楽を得られんことを!
なんちて。
我が家のフランソワーズ