ハリジーのコンサート行ってきました。
The Daily Star (バングラデシュの英字新聞)
「The lure of bansuri
Pandit Hariprasad Chaurasia performs at Dhaka Club」
一旦コンサートがキャンセルになる、とかあったけど、結局、一週間後にコンサートが延期されて、ハリジーがバングラデシュへ来たのです。
めでたい!
演奏は、もちろん、すこぶる良く、私、興奮で鼻血が出そうでした。
こう言ってしまうと、笛吹きの人が怒りそうですが、バンスリって、ただの竹一本の笛です。
なのに、そこから音楽が生まれて、そして、会場中を一気に緊張させる!なんであんなことできるんだろう。
ハリジーは現在71歳なのだけど、全く手を抜かない、完璧な演奏でした。バングラデシュって、インド人からは格下に見られがちな小さな国なのに、そんなことには全く気にしていない、力の入った演奏。かつ、この日のコンサートはテニスコートにテントを張った野外で、近くに道路があるもんだから車の騒音も聞こえてきちゃう、っていう、演奏者としては嬉しくないだろう環境だったのだけど、それでも、いつも通りの素晴らしい演奏。本当にハリジーは本物の音楽家です。
演奏は、Raga Bageshree(Rupak taal)、Raga Chandrakauns(Teen taal)、Dhun。
コンサートのお知らせフライヤーには「light classical(Tumuli)」と書いてあったのに(本当はTumuliってのは間違い。楽器のlight classicalならDhun。)、バリッバリのインド古典音楽でした。
バングラデシュは、Alap(リズムの入らない、メロディーだけの演奏部分。曲の主題・音階であるRagaがゆっくり紹介される)が短くされる傾向があるから、しっかりAlap聴いたのは久しぶりです。
私、リズム楽器のタブラを叩いているけど、Alapが一番好きだから、ヨダレ出そうなぐらい楽しかった。
そうそう、一緒に行った友人にはAlapをこんな風に説明したんでした。
「Alapってのは、ストリップみたいなもので、メロディーの全体が、『あ、少しずつ見えてきた』、『いやいや、見えない』、『次は来るか?』、『おっと、まだだ』、『うわっつ、ちらっと見えた!』、『ひゃー、見えちゃったよ』、『そこまで見せちゃうの?』、『わ、丸見え!』って感じ」
どうでしょう。Alap、ぐっと来ませんか?
そして、ちなみに、リズム楽器(この日はパカワジとタブラ)が入ってきてからのパートは、裸の美しいお姉ちゃんがクネクネ踊っている感じです。観ていると(聴いてると)胸がキュンと甘くなって、鼓動が速くなってきます。お姉ちゃん(バンスリ)が隣の男性(タブラ、パカワジ)に甘く囁きかけて、その美しい横顔(音色)にドキっとなったりします。そんなの観てたら、興奮しすぎて、思わず手を叩いてしまったり、「バ!(バングラ人の感嘆の言葉)」とか言っちゃったりします。
(私の根が下品なので、下品な例えですみません。音楽関係の人には怒られそうだ。)
ま、インド古典音楽鑑賞ってのは、快楽の渦の中に入ってしまう、甘い甘い体験で、ハリジーのこの日の演奏でも、もう心を完全に持っていかれて、頭の中がボーっとなるぐらいだった、ってことです。
そんなこんなで、本当に素敵な夜でした。
ハリジー、心から大好き。そして、心から尊敬します。
パンチャカルマ、終了。