今日タブラのレッスンで先生のおうちへ行ったら、バングラ人フルート奏者のウスタッド・‘キャプテン’・ナズルル・イスラムさんが来ていました。(キャプテン、ってあだ名は、昔海上貿易の仕事をしてたことに由来するみたい。チッタゴン在住。)
彼は2年前にシンガポールのSIFAS(Singapore Indian Fine Arts Society)でコンサートをしたんだけど、その時は見に行けなかったから、お会いするのは今日が始めて。バングラの新聞にも写真入りでちょくちょく載るから、お顔は知ってたんだけどね。
で、ノズルルさんと、私のタブラの先生と、私の歌の先生(タブラの先生のお父さん)がベンガル語で喋ってるのを横で聞いてたんだけど、聞き取れた言葉はわずかで・・・
「・・・クラシック オヌスタン・・・」
「・・・ネイネイ!・・・」
「・・・ウスタッド・アラウッディン・カーン・・・ ・・・ブラフモンバリア・・・ブラフモンバリア・・・」
「・・・ノズルル・ギティー・・・」
「・・・ウダイ・シャンカール・・・」
でも、+みんなの表情 +バングラの音楽事情 +想像力(90%)で、その会話をおぎなうと、たぶんこんな感じです。↓
「今って、ダッカでインド古典音楽のコンサートって、たくさんあるの?」
「いやー、ぜんぜんないよ。誰も聴きたがらないもん。」
「バングラデシュっていえば、インド古典音楽の巨匠ウスタッド・アラウッディン・カーンを生み出した場所だっていうのに、今は古典音楽は廃れてしまってるね。あっちでもこっちでも、アラウッディンカーン生誕の地ブラフモンバリアを近代インド古典音楽発祥の地、みたいに言っているのに、今はこの有様だもん。」
「バングラ人が聞きたがるのは、ノズルルギティーなどばっかり。ノズルルギティーのコンサートなら、あちこちであるのに。」
という、非常に悲しい話をしていたのでした(たぶん)。3人ともインド古典音楽家だから、バングラデシュの現状は、とても辛いのだと思うな。古典は、本当に下火だから。
ちなみに、「ウダイ・シャンカール」はどんな文脈で出てきたんだか分かりません。後で聞こうと思ってて忘れちゃった。(ウダイ・シャンカールは、ラビ・シャンカールの兄弟で、カタックとバラタナティアムを踊る著名なダンサー)。
もしかすると、というか、たぶんきっと、今現在、バングラデシュよりも日本の方がインド古典音楽奏者の数も、聴く人の数も多いと思う。
うーん、日本の浮世絵が海外での方が保存がいい、みたいなことが起きてるなー。
これが現実です。
災難と、インド人の優しさ